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私を裂いて

  • Feb 26
  • 1 min read

血はない、ただ香りだけがある。

層をなして ひろがってゆく。


あなたの手が中へ伸びる、

まだ終わらない夢を

たしかめるように。


軽すぎても、重すぎてもいけない。

手がふるえるなら

そのまま、ふるえていて。


果肉が裂ける。

透明で、湿って、あたたかい。

やわらかく、清らかに、

種の奥を漂う ひとしずくの月光。


すべてがこぼれおちても、

どうか拭かないでほしい。

汁が地を流れ、

ひとすじの川になっていく。


わたしはその流れに身をまかせる。

指先のひかりが震えて、

ある響きのように、

重なりあいながら、消えてゆく。


それがわたしであり、

あなたでもある。

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